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日焼けしたあとのケアは、どうしたらよいか

「あとの祭り」という言葉がありますが、まさに日焼け後のケアはあとの祭り。焼いた肌を元に戻す手段はありません。よく「アフターサンケア」などとうたうジェルやクリームなどがありますが、米国ではその言葉自体があまり適切でないという意見もあります。アフターサンケアという言葉は、焼いた後でも肌を元に戻せるかのような誤解を与えるからというのがその理由です。紫外線で変化した肌を元に戻すというのは、天日干しにした干物を生の魚に戻すのと同じくらい無理な相談です。焼いたあとにビタミンCを飲んだり美白化粧水をつけたりしても、肌の中にできた「シミのもと」をなくすことはできません。

肌は焼かないのが原則です。では、焼かないつもりでいたのにうっかり日焼けしてしまった場合は、どうしたらよいでしょう。ひりひり感がなければ、肌のお手入れは通常どおりで大丈夫です。洗顔して化粧水、美容液など普段と同じに使います。日焼け後は若干乾燥しやすくなることがあるので、保湿美容液を多めに使うとよいでしょう。ひりひりするほどの日焼けであれば、まず冷やします。またお手入れをシンプルにすることが大事。敏感肌用の保湿クリームなどを塗って、おさまるまではあたりさわりのないケアをします。落ち着いてきたら少しずつ普段のケアに戻していきます。

ただしここに挙げたのは、日焼けした肌の乾燥やひりつきを防ぐためのケアであって、シミを防ぐものではありません。前述したように、シミができるかどうかは日焼けした時点ですでに決まっており、過度の日焼けをしてしまえばシミはどうしても残ります。「来週沖縄に行くので、『どうしても』焼けてしまうと思うんですね。焼けてしまったときって、どうしたらよいですか?」という質問がよくありますが、焼いたあとでどうするかという神だのみ的な発想をする前に「どうしても」焼けてしまうという前提をまず見直すべきです。「どうしても」焼けてしまうということはありません。焼けたと感じるほど焼けることはないはずです。

それほどの完全防備はできないという人は、ある程度の日焼けは避けられないので、お肌の時計が進んでしまってもそれはバカンスの代償として受け入れることになります。よく、焼けてしまってから慌てて皮膚科に飛び込んできて、「シミを作りたくないから薬がほしい」という人がいますが、医療は万能ではありません。乙女の願いをすべてかなえられるわけではないのです。美肌カクテルなどと称してビタミン剤の点滴をする病院もありますが、点滴で入れたビタミンの大半は数時間で排泄されてしまうので、気休めのようなものです。輝く太陽は美しく、明るい日差しは人の心をうきうきさせますが、見えないところで肌をむしばむという残酷な一面も持ち合わせているのです。

紫外線と骨

紫外線は肌にとって百害あって一利なしといわれますが、体のためにはメリットもあります。それはビタミンDを作り出すことです。ビタミンDは骨を作るために必要であることが知られていますが、それ以外にもガンを予防する可能性が最近報告されています。紫外線があたると皮膚は、ビタミンDの合成を行います。一日に必要なビタミンDを作るためには、両手のひらくらいの面積で15~20分程度の日光に当たる必要があります。この程度の日光は多くの人が受けているのでさほど心配はないのですが、紫外線対策をあまりに完壁にしすぎると、日光不足になることがあります。日光不足気味の人は、顔やデコルテ、手などの人目につくところは日に当てないで、それ以外の部分(脚など)を多少当てるとよいでしょう。また、以下のような人はさらにビタミンDが必要です。

①子供
赤ちゃんから成長期くらいまでの子供は、骨が伸びるためにビタミンDが必要です。一日30分くらいは戸外に出て、体を動かすことが推奨されています。赤ちゃんをほとんど外に出さずに成長障害を起こした例もありますので、注意しましょう。

②妊娠、授乳中
赤ちゃんのビタミンDはお母さんに頼っています。やはり30分くらいは外に出て、ある程度日光を浴びましょう(ただし顔やデコルテなどシミを作りたくない部分はガードしましょう)。

③高齢者
70代以上の高齢者では、血中ビタミンD濃度が高い人ほどガンの発生率が低いといわれます。日光でビタミンDを供給することはとてもよいことですが、高齢になると皮膚がビタミンDを作る力が衰えてきます。少し長めにお散歩などをするとよいでしょう。なお、紫外線の中でもビタミンD合成に関わっているのはUVBです。これは窓ガラスなどでさえぎられやすいので、室内に入ってくる日光はビタミンD合成にはあまり役立ちません。

UV対策は自分で決めるもの

「UV対策はどうすべきか」とよく聞かれますが、実はその答えはありません。なぜならば、シミができてはいけないというものではないので、極端にいえばいっさいUV対策をしなくても「悪い」とはいえないからです。例えば、白髪が出てきたらどうすべきでしょう。染めなくてはいけないということはないですね。シミ対策もそれと同じで、しなくてもそれはその人の自由です。UV対策は手間もかかる上にストールや手袋も使わざるを得ないため、自肌を手に入れるにはファッション性などいろいろな犠牲を払うことになります。どちらをとるか、あなたが決めることです。あなたは今後、どの程度のUV対策をしていきますか? 前述した情報をもとに、自分のニーズに合わせたUV対策をとってください。そうは言っても、どうしても決められないという人が多いようです。そういう人たちのために、以下にガイドラインを示します。

<お望み別 4段階の∪∨対策ガイドライン>

UVガードレベルⅠ
シミができても気にしない人→日焼け止めもファンデーションも塗らず、夏はノースリーブで歩いてOK。ビーチに行くときなどは火ぶくれになると危険なので、簡単に日焼け止めを塗る。この方法だとおそらく20代後半くらいからは頬にシミができ始め、30歳くらいからは背中やデコルテ、手の甲にも現れると予想されます(肌質によって多少早い遅いはあります)。また40歳すぎ頃からは、深めのシワが額や目尻に刻まれます。

UVガードレベルⅡ
シミがある程度できてもよいが、あまり負担にならない範囲で防ぎたい人→顔は軽いメイクをするか、日焼け止め下地を毎日塗る。腕やデコルテにも朝だけは日焼け止めを塗る。UVジャケットまでは着ないが日傘とストールだけは使う。海などでは日焼け止めをたっぷりめにつけ、途中で1~2回塗り直す。この方法だと平均的にいって30代後半からは顔に、40歳くらいからは肩やデコルテにもシミができると予想されますが、何もしないよりはだいぶ遅らせることができます。
 
UVガードレベルⅢ
完璧でなくてもよいが、同年代の人よりはシミを少なく抑えたい人→外出時はパウダーファンデーションを塗る。ジャケットまで着なくても、晴れた日にはUVカーディガンとUV手袋、ストール、日傘を使う。海などでは日焼け止めを一日1本使い切るくらい塗り、ビーチに上がったらパーカーを羽織る。この方法だと前述の場合よりもさらに遅らせることができます。ただし40代くらいからは顔にシミが多少はできるでしょう。ボディは、あまり頻繁に海などに出かける人でなければ40代に入ってもあまりシミは目立たないでしょう。

UVガードレベルⅣ
シミを防くためにできる限りのことをしたい人→顔はパウダーファンデーションを毎日(家の中にいても)使う。特に頬骨のところは、重ねてしっかり塗る。日中くずれるので脂とり紙でおさえてルースパウダーで直す。外出時はジャケット、ストール、手袋を常に使用し、肌はいっさい露出しない。海やプールに行くときはラッシュガードを着て、ビーチに上がったらさらに帽子とパーカーを着用する。ではここで、衣類でおおうかわりに日焼け止めだけでシミを防ぎたいという人は、どうしたらよいでしょう。それはかなり困難ですがどうしてもチャレンジしたい人は、規定量(1平方センチメートルあたり2㎎)をきっちり、二時間おきに塗ってください。夏の外出時には腕や脚、肩にも塗ることになるので、日常でも二日で小さいボトル1本使い切るくらいの量になります。ここまでやれば、衣類でおおわなくてもかなり紫外線は防げるはずです。

若い頃からⅣの方法をとればシミは一つもできないかといわれると、そういうものではありません。衣類でおおっても日焼け止めを塗りたくっても、どうやっても紫外線の影響を完全にゼロにすることはできないので、シミが絶対にできないという保証はありません。また、紫外線によるもの以外に肝斑やニキビあとの炎症性色素沈着、刺激黒皮症などもあり、そういうシミは紫外線対策をしていても出てきますので、それぞれに合わせた美白ケアが必要になります。以上Ⅰ~Ⅳのガイドラインを参考に、自分でUVケアを選択してみてください。日焼け止めのベタつきはいや、塗り直すのも面倒くさい、ファンデーションも暑苦しいし好きになれない、長袖を着るのも暑いしおしゃれじゃない、でもシミはいや、という女性の要望にすべてこたえる秘策は、残念ながら現在のところありません。「ビタミンCでも飲んでおけばよいのでは?」という楽天的な人もいて、思わず腰を抜かしそうになりますが、ビタミンCで防げるほどシミ対策は容易ではありません。

白肌道は決してたやすくないのです。多くの女性が、UV対策を現実よりも軽く考えているように思われます。肌はむしろさわらないほうがきれいに保てると申してきましたが、UV対策だけは別。上記のように、結果は努力に比例します。つまり人一倍努力した人が、人一倍シミのない美しい肌でいられます。でも、ここで今一度考えてみましょう。白肌だけが人生のすべてではありませんね。夏にはノースリーブで街を散歩したり、おしゃれな水着でビーチを楽しみたい人もいるでしょう。あなたにとって何が大事かを考えて、選択すればよいのです。そしてどの道を選択したとしても、大切なのは後悔しないこと。そのために必要なのは、正しい知識です。自分で「これをしていれば、シミはできないだろう」と思ってやってきたのに、予想外にシミが大発生して「こんなはずじゃなかった」と思うことだけは、避けたいものです。

日焼け止めの知識②

③SPFとPA
市販の日焼け止めのほとんどには、この両方の値が表示されています。何となくわかっているようでも、きちんと理解している人は少ないもの。これらの数値の意味を、今一度おさらいしましょう。

・SPF
地上に届く紫外線のうちでも波長の短いB波(UVB)はエネルギーが強く、海辺などでの真っ赤になるような日焼けや、皮膚がんの原因になります。そのUVBを防ぐ効果を示す値がSPF。SPF2の日焼け止めを塗ると(皮膚1平方センチメートルに対して2mgの割で塗ると)、日焼けするまでの時間を2倍に延ばすことができます。SPF値は2~50までの数値で表され、50以上のものは50+と表記されます。日常使いにはSPF20~30程度のものが推奨されています。ただしここでいう「日焼け」とはサンバーンのこと。つまり、赤くなってヒリヒリし始めるまでの時間を2倍に延ばすという意味であって、シミができるまでの時間を2倍に延ばすという意味ではありません。どのくらいの紫外線を浴びるとシミができるかは個人差も大きく測定が不可能なので、例えばSPF30の日焼け止めが実際どの程度シミを防ぐ効果があるのかということまでは、わかりません。そういう意味でも「日焼け止めさえ塗っていれば安心」とはいえないのです。

・PA
PAはA波(UVA)を防ぐ効果を示す値。+~++++までの四段階で表されます。日常使いには++、レジャーには+++以上のものが推奨されています。UVAは雲やガラスにさえぎられにくく、皮膚の奥にまで浸透して老化を引き起こします。サンバーンなどのすぐに目で見てわかる変化は起こさないので、浴びている実感がないままに日焼けしてしまう、怖い紫外線です。

④ウォータープルーフ(耐水性)
米国FDAでは、日焼け止めのウォータープルーフという表記は好ましくないとしています。どんな日焼け止めでも、水にさらすと効果は激減するからです。ウォータープルーフの日焼け止めにはほとんどシリコンオイルが入っています。これが皮膜を作って水をはじきますが、そのすきまをぬって日焼け止め成分は溶けて流れてしまうのです。日焼け止めの成分が水に弱いものである以上、そこに何かを混ぜて完全な耐水性にするということは困難です。例えばここにポリエステルとシルクの混合の衣類があるとします。ポリエステルは水洗いに強いですがシルクは弱いものです。そういう場合は、水洗いするとシルクの部分はいたみます。一部だけ水に強い素材が入っていても、それで全体が水に強くなるというものではありません。日焼け止めも同様。プールで泳いでも皮膜を保ち続ける日焼け止めなどないので、水に入るたびにつけ直す必要があります。

日焼け止めの知識①

日焼け止めは、前述したようにマイナスな部分も多いので、私自身は近年、日常でもレジャーのときでもまったく使っていません。パウダーファンデーションと衣類だけでUV対策を行います。海に行くときは長袖のラッシュガード(水泳用のUVカット衣類)を着ています。このほうがきっちり日焼け止めを塗るよりも時間がかからず、肌に負担もありません。でもやはり日焼け止めもある程度使いたいという人が多いでしょうから、そういうときのために最低限、日焼け止めについて知っておくべき事柄を挙げます。

①紫外線吸収剤と散乱剤
吸収剤は文字通り、紫外線を吸収する性質を持ちます。桂皮酸、パルソールAなどが代表的なもの。化学物質なので、体質に合わないとかぶれなどのトラブルを起こすこともあります。吸収剤の多くは、紫外線を吸収していくにつれ効果が下がる、つまり時間とともに効果が下がります。散乱剤は、肌の上に皮膜を作って紫外線を跳ね返すもの。酸化チタンなど金属の粉や、タルク(陶土)などがこの類です。吸収剤に比べるとかぶれが少ないため、赤ちゃん用や敏感肌用の日焼け止めには散乱剤だけで作られたノンケミカルのものが多いようです。ただし、粉を含むため白くなりやすい、使用感が悪い(厚ぼったく感じる)、粉が肌の水分や皮脂を吸うため乾燥させやすいなどのデメリットがあります。つまり吸収剤も散乱剤も、どちらも一長一短といえます。結局のところ、毎日使っても肌に負担がなく、べたつかず使用感がよく見た目にも自然で、朝つけたら一日中紫外線から肌を守ってくれる日焼け止めなどというものは、存在しないと考えましょう。吸収剤・散乱剤のどちらを使う場合にも、メリットデメリットをよく考えて使用することが必要です。また塗った部分に赤みやかゆみが現れた場合は、すぐに使用を中止しましょう。

②クリーム、ジェル、ローションなど剤形による違い
日焼け止めにもいろいろな形があります。最近ではさらっとした使用感が好まれるため、ジェルやスプレー式などのものもよく売られています。それらのどのタイプがよいとか悪いとかいうことはありませんが、それぞれに特徴があり、一長一短があります。油分が多いものから順に、みていきましょう。

クリームタイプ
乾燥肌や敏感肌用の日焼け止めはこのタイプが多い。ただし、油分が多いものだと毛穴がつまってニキビの原因になることがある。

乳液(ミルク)タイプ UVカットの化粧下地はこのタイプがほとんど。「ミルク」という言葉そのものにやさしい響きがあるが、ミルクタイプだから肌にやさしいとは限らない。特にさらっとしたものは水分が多く、それを安定させるための界面活性剤も多く含むので要注意。

ジェル、ローション 最もべたつかないタイプで、色もつかないため男性用のものなどに多い。紫外線散乱剤はこのタイプに配合することが難しいので、このタイプの日焼け止めの多くは吸収剤が主成分となり、それらが肌に負担をかけることもある。また、さらっとしているため薄づきになってしまい、高いUVカット効果を得ることが難しい。総合的にいうと油分が多いこってり系のものは、そうでないものよりもかぶれなどを起こしにくいがテカリやニキビの原因になりやすく、使用感も悪くなります。油分が少ないさっぱり系のものは使用感がよいが、界面活性剤や紫外線吸収剤が肌荒れの原因になることがあるのと、薄づきになりやすいため効果が下がる可能性があります。

どれを選ぶかは肌質にもよりますし、使う人が何を優先したいかにもよります。まず敏感肌の人はやはり、油分多めのクリームタイプが無難です。反対にニキビができやすい人やテカリが気になる人はクリームタイプは避けるべきです。また、UVカット効果を重視したいならこってり系のもの、使用感を重視したいならさっぱり系のものとなります(ただしさっぱり系を選ぶ場合は、効果は万全でないことを心得ましょう)。塗ってみてこキビができたり肌が赤くなってかぶれたりしたら、もちろんすぐに使用を中止します。合う日焼け止めが見つからない場合や塗り直しがまめにできない場合は、塗るのをやめて、かわりにパウダーファンデーションやUVジャケットを使うなどして対策をしたほうがよいでしょう。