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どのくらい運動すればよい?

厚生労働省が2006年に発表した「健康づくりのための運動指針」では、成人一人あたり以下の運動量が求められています。歩行20分を1エクササイズ(1Ex)とした場合、目標は一週間合計で23Ex。駅までの20分を毎日往復する人の場合、一日2Exですから一週間合計で14Exです(土日も毎日駅まで歩いたとした場合です)。目標の23まで、あと9Ex足りませんので運動を追加する必要があります。例えば以下のような運動が1Exに相当します。速足歩行15分。軽い筋トレ20分。床掃除20分。自転車15分。軽いジョギング10分。エアロビクス10分。水泳やランニング7~8分。これらを組み合わせて一週間の中であと9Ex追加すればよいのです。

中でも4Exは歩行などでなくジョギングや水泳などの活発な活動にすべきであるといわれます。よって、ウォーキング(速足)30分(=2Ex)を二回(4Ex)、筋トレもしくは床掃除20分(1Ex)、水泳30分(活発な活動。約4Ex)くらいを一週間の中で取り入れれば合計23Exが達成できます。かなりの量だと感じる人もいるかもしれません。

でもこれは、健康維持のために必要な運動量であって、減量を目指す人はさらに週10Ex程度追加が必要になります(まったく運動していなかった人は2Ex程度の追加から始めて徐々に増やしてください)。ただし、「こんなにできない」といって投げ出してはいけません。目標に達しなくても、何もしないよりは少しでも動いたほうがよいのです。何事もゼロよりましです。少し遠回りして歩く、階段を使う、電車では座らない、などの小さな努力の積み重ねも大切です。

半身浴で冷え性が治る?

冷え性改善のために半身浴にはげむ女性も多いものです。冷えるのだから温めればよいという発想はわかりますが、半身浴による温熱効果は当然、一時的なものです。ゆで卵もお湯から出して30分もおけば完全に冷めてしまいます。人間も同様、どんなにお湯で温めても、湯から出れば冷えていきます。一日一回お風呂で温まるだけで、冷えない体を維持することはできません。お風呂で温まることが無意味ではないですが、それだけでは冷え性は治りません。そもそもなぜ冷えるのか。女性に冷え性が多いのは、筋肉が少ないからです。筋肉が冷えを解消するのは、主に以下の二つの効果によります。

①体温を生み出す効果
筋肉は体温を生み出します。車がガソリンを燃やしてエンジンを動かすように、筋肉はブドウ糖を燃やして動き、そのときに熱が発生します。だから運動すると暑く感じるのです。運動不足で筋肉が減れば、当然体は冷えやすくなります。

②血液をめぐらす効果
手足が冷えるという人が多いのは末端の血液の循環が悪いからであり、それを流しているのは筋肉です。筋肉を鍛えれば、手足は冷えなくなります。ご存知の通り、体の血液をめぐらすポンプの役割をしているのは心臓です。しかし、心臓の収縮力だけで体のすみずみまで血液を送ることは困難です。血管は実に細く長く体のすみずみまではりめぐらされており、その長さを合わせると10万㎞にもなります。それに対し心臓は、わずか握りこぶしくらいの大きさです。いくら心臓が強靭な筋肉の塊でも、心臓だけで血液をめぐらすのは難しいことがわかりますね。そこですべての血管に血液を届けるために、筋肉の収縮が役立っているのです。筋肉が収縮するとき周りの血管をポンプのように押し、血液が流れます。これを「筋ポンプ作用」といいます。これがうまく働かないと末端の血管の流れが悪くなり、冷え性になります。また女性が気にする「リンパの流れ」ですが、リンパ管の流れにも筋ポンプ作用は貢献しています。筋肉が少ないとリンパの流れは悪くなり、むくんだり老廃物が流れにくくなつたりします。筋肉がいかに大切かがわかりますね。男性よりも女性は圧倒的に冷え性です。でも、お風呂は、女性のほうがたいてい長風呂で、男性は「カラスの行水」かシャワーのみという人も珍しくありません。ここからもわかるように、冷えるかどうかは、風呂に長く入るかどうかよりも筋肉の量の問題なのです。

汗とダイエットにまつわる誤解

「汗が出ない人は代謝が悪くて太りやすい」という固定観念にとらわれているために汗にこだわる人が多いようですが、汗かきの人がやせやすいということはありません。汗の99%は水で、微量の塩分や尿素を含んでいます。汗と一緒に脂肪が排泄されたりやせた叫するというものではありません(よって前出の半身浴の効果のうちの③は、正しいとはいえません。半身浴で消費するカロリーはわずかであり、汗にやせる効果は期待できないからです)。汗が出やすいかどうかには、体質的なものが大きくかかわっています。

暑いときのほか、緊張したとき、辛いものを食べたときなどに汗がでることはよく知られていますが、そういう刺激に敏感に反応して汗がすぐ出る人とそうでない人がいるのです。発汗には自律神経やホルモンがかかわっています。交感神経、甲状腺ホルモンなどが発汗を促す作用を持つので、それらの働きが活発であると汗をかきやすくなります。年齢や生活習慣によって、汗の量は変わることがあります。子供はみな汗かきであり、更年期の女性も汗が増えることをよく経験します。

また、カフェインのとりすぎやストレスなども交感神経を刺激して、汗を増やすことがあります。半身浴やサウナなどの汗を出す行為も、発汗を促しますが、やりすぎると汗かきになってしまいます。汗がまったく出ないのも健康上よくないので、ある程度は必要ですが、度を越した汗かきになると夏場は困るものです。洋服のワキに汗じみができる、額や首筋に汗がだらだら流れる、などで因っている人も多いのです。

半身浴などによる「汗出し」もほどほどにしておきましょう。やせやすい体になりたいのであれば、必要なのは汗出しではなく、一にも二にも「筋肉をつけること」です。特に閉経すると筋肉量が落ちて、急に太りやすくなります。マシントレーニングやスクワット、レジスタンス運動などの負荷をかける運動を取り入れましょう。筋肉は効率よくカロリーを燃焼します。そのため、筋肉がついている人ほど太りにくいのです。

半身浴やサウナは運動のかわりになる?

「何か運動をしていますか」と皆さんにおたずねすると、「半身浴をしています」という答えがかえってくることがあり、驚いてしまいます。半身浴が運動種目にないことは、みなさんご存知の通りです。半身浴が運動に近いものだと思っている人が多いのは、両者には共通点が多いと信じられているからでしょう。半身浴と運動の共通点(とされていること)をみてみると、

①発汗する
②血行促進する
③やせる(?)

などが挙げられます。しかしこれらはすべて結果であって、結果が同じだから同種のものだとするのは無理があります。運動する→汗が出る、半身浴→汗が出る、結果は同じですが、だからといって同種のものとはいえません。激辛料理もカーッとして汗が出て血行が促進されますが、キムチ鍋を食べることも運動の一種といえるかというのと同じ話です。どうしても運動することに抵抗がある人が、似た結果をもたらすものを探してしまうのでしょう。汗をかいて「運動したような気分」という疑似体験をしているのです。

しかし大事なのは結果でなく、そこにいたるプロセスです。運動で重要なのは、筋肉を動かすことです。筋肉を動かせば年齢とともに衰える筋肉を増やし、さらにその筋肉が血行を高め、体温を上げ、基礎代謝も上がります。肌にはうるおいが増し、太りにくい体になります。半身浴では当然、筋肉はつきません。汗を出すことにこだわるために、汗という結果に飛びつく人が多いようですが、汗そのものに重要な意義はありません。

運動すればよいのであって、必ずしも汗をかく必要はないのです。寒い冬にウオーキングをしても汗は出ないかもしれませんが、運動効果は十分あります。水泳も(水泳選手ほど激しく泳がない限り)おそらく汗は出ていませんが、とてもよい運動です。汗は運動の副産物であって、目的ではありません。よって、半身浴で汗をたくさん出しても、運動のかわりにはなりません。半身浴が悪いということはないですが、運動は運動で別個のものと考えて、定期的な運動を習慣化する必要があります。

運動とメンタル

不眠やイライラ、気分が沈むなどのメンタル面での問題を抱えている人が最近増えています。心当たりがある人は、真っ先に連動に取り組みましょう。運動は、体だけでなく脳に影響を与えています。運動することで、以下のようなホルモン(神経伝達物質)が脳内に分泌されます。

①β-エンドルフィン
脳内麻薬ともいわれるもので、多幸感をもたらすホルモン。マラソン走者が気分の高揚を感じるいわゆる「ランナーズハイ」はこのホルモンによるといわれる。

②ドーパミン
ワクワク感や達成感を与える。 

③セロトニン
ハッピーホルモンともいわれ、安定感や幸福感をもたらす。不足するとうつ気味になる。

特に充分が沈む人にはセロトニン分泌を高めるリズム感のある運動がおすすめです。ウォーキングやマシンエクササイズ、ダンスなどの心地よいリズムのある運動を、20分以上続けましょう。あまりハードな運動でなくてよいのですが、だらだらとした動きは運動になりません。ある程度の疲労感を感じるような運動を行うと、気分がすっきりして心も体も軽くなるのを実感できるでしょう。

仕事で疲れて運動などできないと尻込みしてしまう人も多いですが、デスクワークで脳ばかり疲れて体を使わない日々が続くことで心と体のバランスがくずれ、なかなか気持ちが前向きにならないのです。また、体を動かさないと血行が悪くなり、乳酸などの疲労物質がたまったまま抜けにくくなります。そのために、寝ても疲れがとれない日々が続くのです。これでは悪循環。疲れていても思い切って体を動かして、それからゆっくりと休みましょう。目覚めたときには疲れがすっきり抜けて、気分も違ってくるはずです。

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