記事一覧

UV対策は自分で決めるもの

「UV対策はどうすべきか」とよく聞かれますが、実はその答えはありません。なぜならば、シミができてはいけないというものではないので、極端にいえばいっさいUV対策をしなくても「悪い」とはいえないからです。例えば、白髪が出てきたらどうすべきでしょう。染めなくてはいけないということはないですね。シミ対策もそれと同じで、しなくてもそれはその人の自由です。UV対策は手間もかかる上にストールや手袋も使わざるを得ないため、自肌を手に入れるにはファッション性などいろいろな犠牲を払うことになります。どちらをとるか、あなたが決めることです。あなたは今後、どの程度のUV対策をしていきますか? 前述した情報をもとに、自分のニーズに合わせたUV対策をとってください。そうは言っても、どうしても決められないという人が多いようです。そういう人たちのために、以下にガイドラインを示します。

<お望み別 4段階の∪∨対策ガイドライン>

UVガードレベルⅠ
シミができても気にしない人→日焼け止めもファンデーションも塗らず、夏はノースリーブで歩いてOK。ビーチに行くときなどは火ぶくれになると危険なので、簡単に日焼け止めを塗る。この方法だとおそらく20代後半くらいからは頬にシミができ始め、30歳くらいからは背中やデコルテ、手の甲にも現れると予想されます(肌質によって多少早い遅いはあります)。また40歳すぎ頃からは、深めのシワが額や目尻に刻まれます。

UVガードレベルⅡ
シミがある程度できてもよいが、あまり負担にならない範囲で防ぎたい人→顔は軽いメイクをするか、日焼け止め下地を毎日塗る。腕やデコルテにも朝だけは日焼け止めを塗る。UVジャケットまでは着ないが日傘とストールだけは使う。海などでは日焼け止めをたっぷりめにつけ、途中で1~2回塗り直す。この方法だと平均的にいって30代後半からは顔に、40歳くらいからは肩やデコルテにもシミができると予想されますが、何もしないよりはだいぶ遅らせることができます。
 
UVガードレベルⅢ
完璧でなくてもよいが、同年代の人よりはシミを少なく抑えたい人→外出時はパウダーファンデーションを塗る。ジャケットまで着なくても、晴れた日にはUVカーディガンとUV手袋、ストール、日傘を使う。海などでは日焼け止めを一日1本使い切るくらい塗り、ビーチに上がったらパーカーを羽織る。この方法だと前述の場合よりもさらに遅らせることができます。ただし40代くらいからは顔にシミが多少はできるでしょう。ボディは、あまり頻繁に海などに出かける人でなければ40代に入ってもあまりシミは目立たないでしょう。

UVガードレベルⅣ
シミを防くためにできる限りのことをしたい人→顔はパウダーファンデーションを毎日(家の中にいても)使う。特に頬骨のところは、重ねてしっかり塗る。日中くずれるので脂とり紙でおさえてルースパウダーで直す。外出時はジャケット、ストール、手袋を常に使用し、肌はいっさい露出しない。海やプールに行くときはラッシュガードを着て、ビーチに上がったらさらに帽子とパーカーを着用する。ではここで、衣類でおおうかわりに日焼け止めだけでシミを防ぎたいという人は、どうしたらよいでしょう。それはかなり困難ですがどうしてもチャレンジしたい人は、規定量(1平方センチメートルあたり2㎎)をきっちり、二時間おきに塗ってください。夏の外出時には腕や脚、肩にも塗ることになるので、日常でも二日で小さいボトル1本使い切るくらいの量になります。ここまでやれば、衣類でおおわなくてもかなり紫外線は防げるはずです。

若い頃からⅣの方法をとればシミは一つもできないかといわれると、そういうものではありません。衣類でおおっても日焼け止めを塗りたくっても、どうやっても紫外線の影響を完全にゼロにすることはできないので、シミが絶対にできないという保証はありません。また、紫外線によるもの以外に肝斑やニキビあとの炎症性色素沈着、刺激黒皮症などもあり、そういうシミは紫外線対策をしていても出てきますので、それぞれに合わせた美白ケアが必要になります。以上Ⅰ~Ⅳのガイドラインを参考に、自分でUVケアを選択してみてください。日焼け止めのベタつきはいや、塗り直すのも面倒くさい、ファンデーションも暑苦しいし好きになれない、長袖を着るのも暑いしおしゃれじゃない、でもシミはいや、という女性の要望にすべてこたえる秘策は、残念ながら現在のところありません。「ビタミンCでも飲んでおけばよいのでは?」という楽天的な人もいて、思わず腰を抜かしそうになりますが、ビタミンCで防げるほどシミ対策は容易ではありません。

白肌道は決してたやすくないのです。多くの女性が、UV対策を現実よりも軽く考えているように思われます。肌はむしろさわらないほうがきれいに保てると申してきましたが、UV対策だけは別。上記のように、結果は努力に比例します。つまり人一倍努力した人が、人一倍シミのない美しい肌でいられます。でも、ここで今一度考えてみましょう。白肌だけが人生のすべてではありませんね。夏にはノースリーブで街を散歩したり、おしゃれな水着でビーチを楽しみたい人もいるでしょう。あなたにとって何が大事かを考えて、選択すればよいのです。そしてどの道を選択したとしても、大切なのは後悔しないこと。そのために必要なのは、正しい知識です。自分で「これをしていれば、シミはできないだろう」と思ってやってきたのに、予想外にシミが大発生して「こんなはずじゃなかった」と思うことだけは、避けたいものです。

日焼け止めの知識②

③SPFとPA
市販の日焼け止めのほとんどには、この両方の値が表示されています。何となくわかっているようでも、きちんと理解している人は少ないもの。これらの数値の意味を、今一度おさらいしましょう。

・SPF
地上に届く紫外線のうちでも波長の短いB波(UVB)はエネルギーが強く、海辺などでの真っ赤になるような日焼けや、皮膚がんの原因になります。そのUVBを防ぐ効果を示す値がSPF。SPF2の日焼け止めを塗ると(皮膚1平方センチメートルに対して2mgの割で塗ると)、日焼けするまでの時間を2倍に延ばすことができます。SPF値は2~50までの数値で表され、50以上のものは50+と表記されます。日常使いにはSPF20~30程度のものが推奨されています。ただしここでいう「日焼け」とはサンバーンのこと。つまり、赤くなってヒリヒリし始めるまでの時間を2倍に延ばすという意味であって、シミができるまでの時間を2倍に延ばすという意味ではありません。どのくらいの紫外線を浴びるとシミができるかは個人差も大きく測定が不可能なので、例えばSPF30の日焼け止めが実際どの程度シミを防ぐ効果があるのかということまでは、わかりません。そういう意味でも「日焼け止めさえ塗っていれば安心」とはいえないのです。

・PA
PAはA波(UVA)を防ぐ効果を示す値。+~++++までの四段階で表されます。日常使いには++、レジャーには+++以上のものが推奨されています。UVAは雲やガラスにさえぎられにくく、皮膚の奥にまで浸透して老化を引き起こします。サンバーンなどのすぐに目で見てわかる変化は起こさないので、浴びている実感がないままに日焼けしてしまう、怖い紫外線です。

④ウォータープルーフ(耐水性)
米国FDAでは、日焼け止めのウォータープルーフという表記は好ましくないとしています。どんな日焼け止めでも、水にさらすと効果は激減するからです。ウォータープルーフの日焼け止めにはほとんどシリコンオイルが入っています。これが皮膜を作って水をはじきますが、そのすきまをぬって日焼け止め成分は溶けて流れてしまうのです。日焼け止めの成分が水に弱いものである以上、そこに何かを混ぜて完全な耐水性にするということは困難です。例えばここにポリエステルとシルクの混合の衣類があるとします。ポリエステルは水洗いに強いですがシルクは弱いものです。そういう場合は、水洗いするとシルクの部分はいたみます。一部だけ水に強い素材が入っていても、それで全体が水に強くなるというものではありません。日焼け止めも同様。プールで泳いでも皮膜を保ち続ける日焼け止めなどないので、水に入るたびにつけ直す必要があります。

日焼け止めの知識①

日焼け止めは、前述したようにマイナスな部分も多いので、私自身は近年、日常でもレジャーのときでもまったく使っていません。パウダーファンデーションと衣類だけでUV対策を行います。海に行くときは長袖のラッシュガード(水泳用のUVカット衣類)を着ています。このほうがきっちり日焼け止めを塗るよりも時間がかからず、肌に負担もありません。でもやはり日焼け止めもある程度使いたいという人が多いでしょうから、そういうときのために最低限、日焼け止めについて知っておくべき事柄を挙げます。

①紫外線吸収剤と散乱剤
吸収剤は文字通り、紫外線を吸収する性質を持ちます。桂皮酸、パルソールAなどが代表的なもの。化学物質なので、体質に合わないとかぶれなどのトラブルを起こすこともあります。吸収剤の多くは、紫外線を吸収していくにつれ効果が下がる、つまり時間とともに効果が下がります。散乱剤は、肌の上に皮膜を作って紫外線を跳ね返すもの。酸化チタンなど金属の粉や、タルク(陶土)などがこの類です。吸収剤に比べるとかぶれが少ないため、赤ちゃん用や敏感肌用の日焼け止めには散乱剤だけで作られたノンケミカルのものが多いようです。ただし、粉を含むため白くなりやすい、使用感が悪い(厚ぼったく感じる)、粉が肌の水分や皮脂を吸うため乾燥させやすいなどのデメリットがあります。つまり吸収剤も散乱剤も、どちらも一長一短といえます。結局のところ、毎日使っても肌に負担がなく、べたつかず使用感がよく見た目にも自然で、朝つけたら一日中紫外線から肌を守ってくれる日焼け止めなどというものは、存在しないと考えましょう。吸収剤・散乱剤のどちらを使う場合にも、メリットデメリットをよく考えて使用することが必要です。また塗った部分に赤みやかゆみが現れた場合は、すぐに使用を中止しましょう。

②クリーム、ジェル、ローションなど剤形による違い
日焼け止めにもいろいろな形があります。最近ではさらっとした使用感が好まれるため、ジェルやスプレー式などのものもよく売られています。それらのどのタイプがよいとか悪いとかいうことはありませんが、それぞれに特徴があり、一長一短があります。油分が多いものから順に、みていきましょう。

クリームタイプ
乾燥肌や敏感肌用の日焼け止めはこのタイプが多い。ただし、油分が多いものだと毛穴がつまってニキビの原因になることがある。

乳液(ミルク)タイプ UVカットの化粧下地はこのタイプがほとんど。「ミルク」という言葉そのものにやさしい響きがあるが、ミルクタイプだから肌にやさしいとは限らない。特にさらっとしたものは水分が多く、それを安定させるための界面活性剤も多く含むので要注意。

ジェル、ローション 最もべたつかないタイプで、色もつかないため男性用のものなどに多い。紫外線散乱剤はこのタイプに配合することが難しいので、このタイプの日焼け止めの多くは吸収剤が主成分となり、それらが肌に負担をかけることもある。また、さらっとしているため薄づきになってしまい、高いUVカット効果を得ることが難しい。総合的にいうと油分が多いこってり系のものは、そうでないものよりもかぶれなどを起こしにくいがテカリやニキビの原因になりやすく、使用感も悪くなります。油分が少ないさっぱり系のものは使用感がよいが、界面活性剤や紫外線吸収剤が肌荒れの原因になることがあるのと、薄づきになりやすいため効果が下がる可能性があります。

どれを選ぶかは肌質にもよりますし、使う人が何を優先したいかにもよります。まず敏感肌の人はやはり、油分多めのクリームタイプが無難です。反対にニキビができやすい人やテカリが気になる人はクリームタイプは避けるべきです。また、UVカット効果を重視したいならこってり系のもの、使用感を重視したいならさっぱり系のものとなります(ただしさっぱり系を選ぶ場合は、効果は万全でないことを心得ましょう)。塗ってみてこキビができたり肌が赤くなってかぶれたりしたら、もちろんすぐに使用を中止します。合う日焼け止めが見つからない場合や塗り直しがまめにできない場合は、塗るのをやめて、かわりにパウダーファンデーションやUVジャケットを使うなどして対策をしたほうがよいでしょう。

UV対策の実際

紫外線を防ぐために活用したいのが、パウダーファンデーション。パウダーファンデーションの粉は紫外線を反射する効果を持つため、きちんと塗っていれば日常の紫外線なら十分カットしてくれます。頬骨のあたりは日焼けしやすいので、そこに少し厚めに塗るとよいでしょう。朝、パウダーファンデーションを塗り、日中は浮いた皮脂を脂とり紙でおさえ、その上からルースパウダーをはたきます。こうすれば、ファンデーションがくずれて日焼けしてしまうということもありませんし、一日中きれいな状態を保てます。リキッドファンデーションでもよいかという質問がよくありますが、リキッドファンデーションだと顔料(中に含まれる粉体)の密度が低いため、パウダーファンデーションよりもUVカット効果は下がります。

どうしてもリキッドを使いたい人は、リキッドを薄く塗った上からパウダーファンデーションを重ねるとよいでしょう。レジャーのときも、パウダーファンデーションを厚く塗っておけば大丈夫。スポーツで汗をかいてくずれそうなときや海に入るときは、ウォータープルーフのスポーツ用ファンデーションなどを使いましょう。ボディの日焼けは極力、衣類で防ぎます。UVジャケット、UV手袋、ストールなどを利用するとよいでしょう。朝出かける前に、デコルテや腕に日焼け止めをパパッと塗るという人もいますが、それだけではシミは防げません。

体は顔より皮膚が厚いため、ボディのシミは顔よりもできるタイミングは遅いことが多いのですが、一度できてしまうとなかなかとれません。美白化粧品などを塗っても、皮膚が厚いボディにはなかなか効きません。レーザー治療もありますが、顔に比べてボディのシミは治療が難しいのです(皮膚が厚く回復も遅いためです)。よって、ボディのシミはとにかく予防が大切。ボディのこととなると顔よりも油断している人が多いですが、実際シミができてしまうと案外気になるものです。しっかり衣類でガードして、自肌を守りましょう。女たるもの、暑いなどと言って根をあげていてはいけません。

正しい日焼け止めの使い方

SPF表示通りの効果を出すための、正しい日焼け止めの使い方をおさらいしてみましょう。まず使う量は、顔全体につけるとして、乳液タイプなら500円玉大、クリームタイプなら大きめの真珠粒二つ分くらいが一回分です。十分な量を手に取ったら、顔全体に伸ばしていきますが、意外にむらになりやすいものです。特にみけん、生え際に塗り残す人が多いようなので注意しましょう。また、日焼け止めのべたつき感を嫌ってすりこんでいるうちに、無意識に手でこすりとってしまう人も多いようですので気をつけましょう。手に取った日焼け止めは、均等に顔全体にのせていかないといけません。

額、ほほ、あごと数箇所にのせたら指でトントンと伸ばしていきましょう。指の第二関節くらいまでを使い、広げながらのせていくような感覚です。手のひらでこすったらとれてしまうので、手のひらは使いません。左官屋さんが、壁の下地などを塗っているところを見たことがありますか? あれと同様、「塗る」というよりは均一の厚さに「のせる」作業です。日焼け止めの塗り方がむらになっていても、気づいていない人が多いのです。日焼け止めを塗ったあとに、塗られた部分と塗られていない部分を特殊カメラで映し出す実験をしてみると、みけん、まぶた、生え際を塗り残す人が多く、また頬骨の高い部分は手でこすってとってしまうためにきちんと塗れていない人が多いのです。

その人その人のくせがあり、常に同じところを塗り残してしまう傾向があります。そのような塗りむらを避けるためには、前述のように手のひらを使わず指だけでのせていくことが必要になります。顔全体にのせ終わったら終了。レジャー用の日焼け止めクリームでも、メイク下地専用の日焼け止めでもBBクリームでも何でも、SPF表示のあるものはすべて、このように塗らないと数値通りの効果はでません。さらに、これで安心してはいけません。日焼け止めの多くは時間がたつと効果が下がるので、塗り直しが必要です。汗や水でくずれることもありますが、そうでなくても紫外線吸収剤は、紫外線を吸収すると同時に効果が下がっていくことが多いのです。

よって、ずっと屋外にいる場合は2時間おきの塗り直しが必要。室内で働いている人の場合でも、昼間に外出するならばその前に塗り直しが必要です。塗り直しの際も当然、同じ量を使います。このようにしてきっちり使うと、顔用の30gくらいの日焼け止めだと二週間程度で使い切る計算になります。しかし実際には、1本で一ケ月以上もつという人が多いのではないでしょうか。つまり多くの人が、規定の量をきちんと使えていないのです。しかし正しい使い方で毎日日焼け止めを塗ることは、現実的には難しいことです。問題点を挙げてみると

①規定量を全部塗ると、厚塗りになり、顔が白っぼくなったり重たく感じたりする。毛穴づまりやニキビの原因になることもある。

②多くの人がメイクしているので、昼間塗り直すことは難しい。

③塗り直しなども含めると、かなり時間がかかる。

④日焼け止めを毎日多量に塗ると、肌に負担をかけることが多い。

以上のことより、日焼け止めに頼って肌を紫外線から守ることは非常に難しいといえます。では、どうしたらよいか。顔はファンデーション、体は衣類で極力紫外線を防ぐのが、おすすめの方法です。

日焼け止めを過信することが、最大の落とし穴

フランスに行ったときのこと。丸ごと魚をオープンで焼いた料理をオーダーしたら、出てきたその料理を、とても愛想のよいウェイトレスが丁寧にほぐしてくれました。でも、日本人ほど魚に慣れていないのか、骨や皮をとるのに相当な時間がかかってしまい、結果は惨憺たるものでした。魚はすっかり冷め、骨ごと身がどけられてしまい、食べるところはほとんどなくなりました。彼女の愛嬌に負けて私たちは内心はらはらしながら笑顔でずっと彼女の作業を見守っていましたが、やはり想像通りの結果でした。料理でも何でも上手な人は、たいてい手早いものです。いつまでもこねくりまわしていると材料は劣化し、空気で酸化し、風味は損なわれます。手際よく仕上げるのが達人です。

スキンケアも同じ。コツがわかっている人は時間がかからず、結果も出せるものなのです。今までスキンケアに時間をさいてきた人は、5分で終わらせることに抵抗があるでしょう。罪悪感すらいだくかもしれません。でも、手でいじくって何もよいことはありません。魚や肉や野菜がいたむように、肌も手でさわるほどにいたみます。時間と結果は比例しません。「手をかけるほど、肌がこたえる」などという幻想は今すぐ頭から切り捨てましょう。自信を持って、スキンケアの時短にいどんでください。ただし過剰ケアの風潮がある日本女性にただひとつだけ、圧倒的に足りていないものがあります。

それは実は、基本中の基本である「紫外線対策」です。肌によいと思って手をかけることが、逆に肌をいためることがあります。あなたは過剰ケアになっていませんか? お気に入りの服を着れば着るほどいたむのと同様、さわればさわるほど、肌はいたんでいきます。特にクレンジンクは要注意です。スキンケアのツボさえ押さえれば、朝晩5分のケアで十分美肌になれるのです。紫外線の害については広く知られるようになり、日傘や日焼け止めは女性の必需品となりました。美容に関心の高い女性はみな、日々UV対策にはげんでいることでしょう。しかし、なかなかその努力も実らないことが多いのが悲しい現実。

実際、シミに悩んでレーザー治療などを受ける女性でも、「昔から日焼けには気をつけてきたのに、なぜこんなにシミが?」という人も多いのです。UV対策で女性が陥りやすい最大の落とし穴は実は、日焼け止めの「SPF表示」です。SPF50+までの数値が日焼け止めには表示されていますね。SPF35以上くらいのものになると「UV防止効果が強い」というイメージがあり、かなりの安心感を与えます。ところがそれが落とし穴。SPFの数値に頼ってしまうことで思わぬシミができてしまうのです。みなさんは、SPF表示の意味を正しく知っていますか?「日焼けするまでの時間を何倍に延ばせるかを示す数値」という回答では、点数をつけたとして40点くらいです。まずは、SPF表示の意味を正しく知りましょう。

女性たちは、なぜ過剰ケアをしてしまうか?

大半の女性が肌に対して過剰ケアをしており、それが肌をいため、老化を早めていることは繰り返し述べたとおりです。化粧水のつけすぎが乾燥を助長し、たたきすぎが刺激黒皮症を生み、こする刺激がシワを増やしているのです。今、自分がしているスキンケアについて、なぜそのケアをしているのか女性にたずねると、「ただ何となく」「いいって聞いたから」というお答えがほとんど。要するに自分で理解して、納得した上で行っているともいえないのです。大切なことであるわりに、なぜこのようにあいまいな根拠でケアを選択してしまうのかも不思議です。

もちろん、大事な肌だから少しでも手をかけて美しく保ちたいという女心が根底にあるのは確かです。また、「手をかけた」ということで安心してしまっている部分もあるのかもしれません。でも何事も、「やればよい」というものではないのです。女性心理がわからない男性から、むやみとプレゼントなどをもらってもうれしくはないですね。「なんでもいいから適当にあげとけば喜ぶだろう」と思われたら、それこそ心外です。女心をわかって、ツボをおさえたものを贈られたら、高価なものでなくてもうれしいものです。

肌も同じ。「高い美容液をつけておけばいいだろう」とか「とにかく化粧水でもたくさんつけておけばよいだろう」という適当な態度は、肌にとっては迷惑な話です。また「とりあえず手間をかけてケアをした」ということでいたずらに安心してしまうことも問題です。間違ったケアは、どれだけ時間やお金をかけても無意味であるどころか有害にすらなります。肌が何を必要としているのか。それを見極めて、ツボを押さえたものを肌に届けるのが、肌が喜ぶケアというものです。

クレンジングで肌を荒らさないために知るべきこと

過剰ケアの中でも、最も弊害が大きいのはクレンジングです。クレンジングをついやりすぎてしまう人は、メイクの色素が残ると肌に沈着してしまうなどという恐怖心を持っている人が多いよう。俗説に流されないために、正しい知識を持ちましょう。

①メイクの色素は肌に入らない
アイシャドウやマスカラが残ると色素が肌に沈着してまぶたが黒くなるとか、口紅をきちんと落とさないと唇が黒くなるなどと世間でよくいいますが、それは本当でしょうか。メイクアップ用品は基本的に、肌に浸透するように作られていません。メイクは肌に浸透すべきものではなく、肌表面にのって肌をカバーしたり色を出したりするものだからです。基本的に肌はほとんどのものを通しません。化粧品も、特に浸透するように設計されたもの(角層を通りやすい形に作られたものやナノ化されたものなど)以外は浸透しないのです。色素の粒子も大きく肌に入ることはないので、浸透して色がついてしまうことを心配する必要はありません。メイクアップ化粧品がもし仮に肌に浸透するとしたら、その現象は昼間にも起こるでしょう。朝メイクして外出して、夜帰宅したらまぶたが紫に染まっていたなどということはないはずです。

②メイクが肌に多少残っても、大きな害はない
では、きちんとクレンジングせずにメイクが肌に残ってもよいのでしょうか。結論からいうと、さほど悪いとはいえません。もともとメイクは長時間肌につけているものです。昼間十時間以上つけているものが、夜のクレンジングのときに100%落ちなかったからといって大差ないといえば大差ないのです。もちろんまったくクレンジングも洗顔もしないで寝てしまえば、皮脂が酸化されて肌荒れの原因になりますし、ファンデーションが毛穴につまってニキビができるということもあるでしょう。やはり適切なクレンジングと洗顔は必要です。ただし、落ちにくいアイラインやマスカラを完壁に落とすために何度もコットンでこするなどはやめるべきです。こすることでかえって肌が黒ずんでしまうので、ほどほどにしておきましょう。

③落とすときの肌への負担も考えて
肌のためには、落とすときのことを考えてメイクするという姿勢も大事でしょう。落ちにくいのは毛穴をカバーする下地、リキッドアイライン、にじみやすいマスカラなどです。マスカラの場合、ウォータープルーフのものが落ちにくいと思う人が多いようですが、汗や涙でにじまないものとクレンジングのときに落としにくいものは違います。クレンジング料をつけると溶けてにじんでくるものが、一番厄介です。こすればこするほどパンダのように広がってしまい、何度もコットンでふきとるなどという羽目になります。固まってばらっと落ちるもののほうがよいでしょう。もちろんメイクのこだわりもあるでしょうから、それらのアイテムを一切使ってはいけないとは申しません。たまに使うくらいは大丈夫です。

④肌に残ったメイクが、肌の再生をさまたげることはない
もうひとつ、きちんとクレンジングをしないと肌の再生をさまたげるという話がありますが、これは本当でしょうか。寝ている間に肌は再生されるから、きちんとメイクを落として肌をクリーンにしておかないと美肌が生まれないという、一見もっともな話に聞こえますが、実はこれも間違い、というかむしろ真実は逆です。肌は、表皮の奥の基底層で生まれます。表面の角質層にものが(メイクなどが)のっていても、それが基底層に触れているわけではないので直接影響はしません。毛先にワックスをつけて寝たら、髪が伸びることをさまたげるでしょうか。毛根には直接影響しないから、さまたげにはならないですね。肌もそれと同じです。上手な料理を作るためには、まず道具をきれいに洗ってそろえましょうなどとよくいいますね。それは真実かもしれませんが、肌はそれとは違うのです。しっかり洗ったから美肌を生み出せるというものではないのです。美しい肌を生み出すために必要なのは、上にのっているメイクを完壁にどけることではなく、まずは規則正しい睡眠です。次にバランスよい食事。肌は体の中から生まれてくるので、そういう内面的なことのほうが大事です。外的なことについていえば、肌表面の角質が乱れていると、つまり肌荒れを起こしていると美肌の再生が邪魔されることはあります。角質をすこやかに整えるためには、むしろクレンジングをしすぎないほうがよいのです。クレンジングのやりすぎで角質のうるおいまで溶かして奪ってしまっている人が多いことはすでに述べたとおりです。角質が乱れると、肌全体が炎症を起こして肌の再生が妨げられてしまいます。「しっかりメイクを落とすことが美肌を生み出す第一歩」という格言は真実とは逆であるというのは、そういう意味です。

過剰ケアの実際と、正しいケア方法

女性たちによくみられる「やりすぎケア」をあげてみます。

①クレンジング
毛穴の奥から汚れをとるためといって、時間をかけてクレンジング料などでマッサージする人がいますが、これは間違い。クレンジングはスキンケアの中で最も肌に負担をかけるプロセスなので、やさしく手早く行いましょう。すすぎまでの時間は40秒以内が目標です。

②洗顔
洗顔は石鹸が基本。泡をもこもこに立てる必要はありません。泡立てに時間を費やす人がいますが、顔が濡れた状態のまま時間をかけてしまうと、その間に水分が蒸発して乾燥の原因になります。また、泡を顔にのせてからいつまでもなでているのも、もちろんNG。クレンジングも洗顔料も、「洗うもの」はすべて長時間肌にふれると肌のうるおいを溶かしだしてしまいます。洗顔は手早く。Tゾーンから洗い始めて、顔全体を包むように泡を広げたら、ぬるま湯に顔をつけるようにしてすすぎます。これも40秒以内で十分です。

③化粧水
コットンでパッティングすると、3分くらいはかかります。手でつけたほうが早くて、肌に負担をかけない上、化粧水も無駄になりません。化粧水を手のひらに広げたら、ほほを包むように押さえ、目元などの細かいところは指先で広げましょう。トータル30秒で十分です。時間をおいてからまた化粧水を重ねづけするなどはNG。化粧水の水がそのまま肌の水分になるわけではないので、大量につけてもあまり意味はありません。一回にとどめましょう。

④美容液
これも塗りこむために手でさわりすぎている人が多いようです。美容液は手のひらに広げ、ほほから始めて目元などの細部へと広げれば終了です。ベタついていてもそのままにします。この作業ももちろん、1分もかかりません。「美容液の成分を、肌に押し込まないと」と思って手でいつまでもこすっていると、摩擦で肌がいたむだけでなく、美容液がどんどん手についてしまいます。ベタベタ感がなくなるまですりこんで、「肌に入った」と思っている人が多いようですが、実際には手で全部とってしまっているのです。また、化粧水をつけたあと、しみこむまで時間をおいてから次のステップ、という人がいますがこれはかえって乾燥をまねいてしまいます。間髪いれずに次々と肌にのせていけばよいのです。複数の美容液、たとえば保湿美容液と美白美容液などを重ねる場合もどんどん重ねれば大丈夫。全部のせてぺたぺたになったら、そのまま浸透するのを待ちます。

⑤クリーム
「目元の乾燥が気になって、クリームをしっかり塗りこんでいます」という人がよくいますが、これも考えものです。シワを広げて塗りこむなど、皮膚をひっぱるようなことをすると、皮膚が伸びてかえってシワを悪化させかねません。そもそも「目元の乾燥が気になる」と言う人の多くが、特に乾燥していません。目元の小じわを乾燥によるものと思っている人が多いのですが、シワはコラーゲンの変性や減少によるもので、乾燥ではないのです。クリームをつけたい場合は、薬指などでトントンとのせるように塗りましょう。

⑥パック
「肌に何か特別なことをしたい」と思うとパックをする人が多いようですが、これもやり方によっては肌にマイナスになります。まず、コットンや紙のシートに含ませてパックするものは、パックの表面から水分が蒸発するので肌の奥深くまで浸透することは期待できません。化粧水を含ませてパックする人が多いですが、繰り返しのべてきたように化粧水の成分は大半が水で、一生懸命浸透させても時間がたてば蒸発してしまいます。あらかじめ美容成分などをシートに含ませたものもありますが、これらはかぶれることが多いので要注意です。成分の浪度が高く、また多種の成分を含むものが多いためにかぶれやすくなるのです。パックでときどき肌に栄養をチャージしようとするよりも、日々のケアのほうが大切です。食べ物も、「たまにたくさん栄養をとる」より日々の食事が大事だというのと同じです。

ページ移動

  • 前のページ
  • 次のページ